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「月光」という副題はご存知の通りベートーヴェン自身がつけたものではありません。第一楽章の曲想から詩人の述べた感想がもととなり一般に広がったのだそうです。
ベートーヴェンは「幻想曲風ソナタ」との副題をつけています。「月光」の名称が「悲愴」「熱情」とともに三大ソナタとして普及に一役買ったことは否めませんが(「悲愴」以外は作曲者の与り知らぬ副題)、少なくともこの第14番のソナタがそんなロマンティックな音楽とは私には思えません。
「遺書」の一年ほど前に書かれたこの曲には、抜け出すことのできない難聴にまつわる「苦悩」が感じられます。では第二楽章はどうなのか?と言われると困ってしまいます。純真無垢で何の憤りも諦めも感じられないこの楽章。強いて言えばバランス、でしょうか?第一、第三楽章がそれだけ重いということではないでしょうか?
幾つかの演奏を聴いた範囲では、大半の奏者の第一楽章の抑揚は抑え気味で、PP~mPの範囲にとどまっています。ギレリスが左手の楽句でフォルテといえる音を出しているのが例外的です。
私も重みのある第一楽章を目指したいと思いますが、皆さんはいかがですか?重くても、あまり絶望的にならないようでありたいと思います。
それにはどうしたらよいでしょう?
私は左手のオクターブの重さのかけ方の配分(親指と小指or薬指)にあるのではないかと思っています。
それについてはまた改めて。