第二楽章もそこそこに第三楽章にやってきたのですが、若いころ弾いていたとしても、いきなりテンポ通り弾くのは得策ではありません。実は非常に効果的な練習方法があるんです。普通に思いつくのは、とりあえずゆっくりと弾いてみることかもしれません。
あまり楽しい練習ではないですね。でも、ゆっくりでも意外とうまく弾けていないところがあることに気が付きます。そのままテンポを上げていってもなかなかむつかしいでしょう。また、速く弾くときと遅く弾くときでは使う筋肉が違うとも聞きました。そうだとすると単純にゆっくり練習し続けても、必ずしも速く弾けるようにはならないということです。
そこでここからが本題ですが、速いフレーズを克服する確実な練習方法があるのです。この方法ですと上達間違いなしです。正確なテンポ、正確なタッチ、正確なリズムで演奏するのに実に効果があります。
これはかのアルフレッド・コルトー先生が提唱されている方法なのですが・・・。
コルトー先生はこれを「リズム変奏」と呼んでいます。
例えばこんな感じ。
パターン1 | パターン2 |
---|---|
つまりリズムを変えて繰り返し弾くということです。
上記の例では二つのリズムパターンで弾いています。
パターン1と2は、
という二つのリズムです。効果性については後述しますが、パターンは思いつく限りが良いそうです。例えば、
などです。弾いてみました。
パターン3 | パターン4 |
---|---|
パターン5 | パターン6 |
パターン7 | パターン8 |
結構よろよろしていますが、正確なリズムで弾けるようになったらテンポは徐々に上げていきます。いろいろ試してみることが重要です。というのは・・・。
なぜ効果的なのか?
ここからが肝心なところになるわけですが、様々なパターンを練習していると、どこか弾きにくい、あるいは引っかかる、リズムが崩れる、音量が極端に変化する、といった場面に遭遇します。
そのバターンこそが、自分の苦手な箇所、言い換えると手指がうまく動いていない箇所を含んでいる、ということになります。
ですから、引っかかるパターンを繰り返し練習して克服することにより、すべての指が均等に滑らかに動くように訓練していくことができるのです。
うまくいくパターンも繰り返す価値があります。テンポを上げていくと得意だと思っていたパターンでも揺らぐことがあります。そんな時は少しテンポを落として確実に弾くようにします。
引っかかるパターンではとりわけ安定して弾けるようになるまでテンポを抑え、滑らかになったならスピードアップしていきます。
「そんな単純な練習で」と思われる方は、ぜひだまされたと思って試してみてください。私はこの方法で、絶対無理だと思っていたショパンのスケルツォ第2番、中間部のアルペジオを自分で納得できる程度まで弾くことができるようになりました。
今回はどのように成果が出るでしょうか?あるいは?
リズム変奏の意義を追加解説した、ショパンの通称「革命のエチュード」-その2を掲載しました。(2018/10/25)