まず曲全体を概観してみたいと思います。そして、比較的簡単な構成になっているこの曲をできるだけ変化に富んだ、つまり聴き手を飽きさせないようにすることを考えてみます。実のところショパンは即興演奏の名手だったわけで、この曲も単純ながらちょっとした変奏を加えることで最後まで聴き手を飽きさせません。曲の構成要素はこんな感じでしょうか。
まずIの部分
そしてⅡの部分(楽譜の都合でうまく切り出せていませんが)
そしてコーダ(Ⅲ)となっています。Ⅲも短く3つに切り分けることができますが、今は置いておきます。
Iはバリエーションとして(ここもうまく切り出せていません)
等があり、即興的な変奏になっています。
それで全体の構成としては、I-I´-Ⅱ-I´-Ⅱ´-I´-Ⅲ
という感じになるでしょうか。I´の部分も細かなところで変化していますね。前打音があったりなかったりもします。特に最初のI-I´の部分では、最初はmf~f くらいの範囲の音量だったのが、次にはpppも含む弱音で演奏されます。Ⅱ´の部分では3拍4連符なども出てきて少々リズムが取りにくいです。
Ⅲコーダの部分は新たなメロディーが2度繰り返されますが、2回目には微妙にリズムが違う部分があり、最初は気づかずに弾いていました。
だったのが、
と音数が増えています。3拍8連符になりますね。スラーの付き方からすると後ろの6つの音符をそれぞれ3連符で弾いた方が易しいので、そう弾きたくなってしまいますが、ショパンの演奏はどうだったのでしょう。楽譜通りに弾くとグッと繊細なイメージになりますね。やや曖昧なリズム感を狙ったものでしょうか。
これを機械的に弾いてしまうと非常に平板な印象になります。それを避けるためにも楽譜にまずは忠実な演奏をしてみることが必要だと思います。それでも十分に変化が付くようにショパンは記譜しています。そこから「ゆらぎ」を狙っていきます。
しかしそれとは別に、特に指示されていないところで遊び心を持って変化をつけると、なお一層変化に富む聴き飽きない演奏になるのでしょう。短い曲ですし、あまり大したことは思いつかないのですが(実際rubatoやクレッシェンド・デクレッシェンドなど最初から指示は細かい)、弾く人それぞれが工夫できそうな点を探してみようと思っています。それはまた次回に。
大雑把な言い方をすると、同じメロディーは強弱の繰り返しがなされ、盛り上がっては静まり返るを繰り返し、そして最後のコーダの部分でグッと盛り上がって、最後は静かに幕を下ろす、といった構成になっています。
楽譜全体をよく眺めて、強弱・速い遅いの変化をよくつかんでおくことが助けになります。
最近まであまりにポピュラーな曲ゆえか若干敬遠していましたが、こうしてみるとやはり名曲ですね。もちろんそれは巨匠たちの名演奏あってのことなのですが。是非ある程度の形に仕上げたいと思います。
本当にざっとでしたが、今回はここまでに致します。