A-B-Aの最初A-Bを橋渡しする、つまりブリッジを再び取り上げるわけですが、難しいのは聴いているとどういうメロディーなのか良くわからないところでしょうか?というのも、伴奏の左手が頭一拍欠けていたり、後拍の方に重心が来ていたりするために、一拍ずれた感覚で聴くことになります。もちろん表現によるのでしょう、名演奏家の演奏ではそういった錯覚をほとんどきたさないように上手に処理しておられます。覚えるのがやっとでなかなかそこまでいきませんが。
素直に右手がメロディーとして聴こえるように練習したいです。つまり「ド~ファ~ソ~ラ♭~,シ♭~ラ♭~シ♭ド~」と、聴こえるとよいですね。これには左手にも工夫が要りそうです。極端にテンポを揺らさずに、小節通りの拍子に聴こえるように強弱をつけていきます。
こういった各拍における重みづけは、以前やった「月光」で、左手の重みづけを変化させることを試みた回がありましたが、思いのほか難しいというか、考えすぎるとおかしなことになることがわかりましたよね。
ショパンは明確にアクセント記号を書いていますので、その通りに演奏すればよいはずですが、名演奏家の皆さんはそれぞれに曲想が異なっていて、まったくショパンの指示通りとも言えないようです。
(追記:2017/4/5)
楽譜画像を追加しました。特に左手にご注目ください。一括り毎にスラーがかかっていますが、裏拍にはスタッカーティッシモが書かれています。つまり裏拍は軽く弾いて普通のリズム感を表現するようにという意図ではないでしょうか?さもないと低音部が強調されてリズム感が一拍ずつずれてしまいます。
楽譜に書かれていることを踏み越えずに、かつ自分の表現を追求する。ここに以前にも書きました音楽という芸術の面白さがあると思います。私の演奏はどんな感じですかね?まだ色々おぼつかない感じですが、特に後半のメロディーに入ったところで聴き手の錯覚を起こしかけそうです。前半はこれでよいと思っているのですが、「いやいや」「まだまだ」とお感じになる方も多いことでしょ言うね。
動画の最後のところで小さな音符を弾くところ(後の方)がありますが(追記:2017/4/5 楽譜を入れました)、ここの音符の振り分け方は調べた限りでは、演奏家たちはこのように、「ソラソファ♯ソ」「シラソファレミ」と分けて、それぞれを左手の四分音符に合わせて弾いているようです。最初はもっと曖昧模糊とした振り分け方を考えたのですが、ここではきちんと音を並べて、茫洋とした感じにはしない方が良いようです。
思いますに、Aの部分の方はテンポも音符もぴったりと決められているにも関わらず、柔らかな響きによって聴き手の手のひらから逃げていくような、どこかつかみどころがない感じがあります。対して、Bの部分の方が13連符とかテンポの揺らぎなどが多いにもかかわらず、ずっとしっかりと地に根を生やしたような安定感を覚えます。ですから小さい音符も、連符も、あまり曖昧にしてしまわない方がバランスが良いと感じますが、皆さんはいかがですか?
フランソワの三連符の処理など聴くとゾクゾクしてしまいますけれどもね。一つの「境地」なんでしょう。やすやすとは踏み込めない領域のように感じます。
次回は再びAの部分(締めでもありますしね)に戻っての勘所に迫りたいと思います。