ピアノの練習。上達を妨げるもの

楽譜あり
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たまには動画も楽譜もなしの文章だけの投稿でもしてみましょうか。内容はずばり、何が上達を阻んでいるのか?です。おじさんになってから先生に付くのは何かはばかられ、お金もかかります。いい先生に巡り合うことが一番大事というインタビューも読んだことがあります。けれども、そこまで入れ込んでいるわけでもないかもしれないかもしれない・・・。

楽器好きで楽譜を買ってきて、さあ練習だ、というときについやってしまうこと。これが実のところ上達を大きく妨げているのです。

それは・・・。

とりあえず弾いてみる。


えっ、と思われる方も多いかもしれません。その曲が弾きたくてせっかく楽譜を買ってきたのだから、早く弾いてみたいのが道理でしょう。と、その気持ちはよくわかります。特に自分のレベルでまずまず行けると思う曲ほど、いきなり両手でなんとなく弾き始めてしまうことがよくあるのではないでしょうか?

よほど易しい曲であるとか、自分は初見演奏の練習をしているのだとか、まぁそういう場合はさておいて、いったい何故、いきなりなんとなく弾いてみることが上達にとって逆効果になるのか、耳学問や経験を通しておこがましくも書かせていただきます。

まず、適当に弾いてみるということは、ほぼ100%運指が指示通りではありません。若いころは「運指」の指示などあまり重要ではないと考えて、自分の指が動きやすいように適当に弾き始めていました。

運指というものは、ショパンやリストのように曲を弾きやすくするとともに情感豊かに響くことを考え抜いて書かれていることが多いです。中にはドビュッシーのように運指を書き込まず、「自分で見つけること」という考えの作曲家もいます。ショパンやリストの楽譜も、作曲者自身ではなく、校訂者や研究者や演奏家が運指を書き込んだものや、複数の運指を記述しているものまであります。

自分の指の動きやすい弾き方というのは往々にして弾くのに最善ではなく、テンポを上げていったときに破綻することが多いです。そして、効率の悪い弾き方になってしまうのです。それは、「弾き間違い」を引き起こしやすい弾き方、と言い換えることもできます。

それで、「とりあえず弾いてみる」ことの一つ目の弊害は、不正な運指を身に着けてしまう、というところにあります。

まだあります。とりあえず弾いてみると避けられないもの、つまり「弾き間違い」です。

人間の脳というのは不思議なもので、これを駆使しなければ良い演奏ができません。最初に一回でも間違ってしまうと、それがあっという間に癖になり、繰り返し同じところでミスしてしまうことになるのです。そう考えると、ほら、最初の演奏に細心の注意が必要なことがわかるでしょう?

これに似た失敗で、最初に楽譜を読み間違えて練習してしまうと、悲しいかな元の正しい演奏に戻すのに非常に苦労することになるのです。ちょっと気を抜くと間違って覚えた音を弾いてしまいます。これは脳の無駄遣いです。

本当に同じ場所で必ずつかえてしまう、そんな経験はありませんか?この症状を治療ではなく、予防することが大切なんです。

それで、「とりあえず弾いてみる」の二つ目の弊害は、脳に誤った情報をインプットしてしまう、ということです。

では一体どうやって練習すればこの弊害を避けられるのか?それは、「譜読み」です。巷では譜読み、譜読みというので、楽譜を読むことだと思っていましたが、そうではなくゆっくりと、とにかくゆっくりでいいから間違えずに正しい運指で弾くことを指すのだそうです。というかそういう意味で使われています。

場合によっては片手ずつの練習になることもあるでしょう。せっかく楽譜を買ってきたのに面白くない練習になるかもしれません。でも、これこそが演奏を楽しんで、音楽の上達に満足することのできる方法なのです。必ずや大きな報いがあるでしょう。

苦あれば楽ありです。しかもその苦はそう長いことではありません。正しい運指で正確に弾いていると情報が脳に刻み込まれ覚えてしまう、つまり暗譜することにもなるのです。暗譜は演奏の必須条件ではないと思いますが(リヒテルは暗譜しない、というか楽譜を見て弾く)、余裕が生まれて一層表現に注意を向けることができるようになります。

正直を言えば自分はこれらの点で失敗を繰り返してきました。懲りずに今回もそんな部分があります。後悔先に立たず、ですね。

さて、文字だけの投稿を読み切ったあなたはすごいです。この時代、画像も動画もなしに文字だけ読まされるのはたまったものではなかったと思います。でも絶体に良いヒントになるに違いありません。

楽しい音楽ライフを!

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