ラ・カンパネラ – その28(自分なりの演奏・低速練習)

「ラ・カンパネラ」
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このところ視覚素材もあまりなく、これといったヒントも出てきません。一方コルトー先生の指示は断片的にわかるようになってきました。ハードルを上げたのですからここらで少し踏ん張らなければなりません。リフレッシュを忘れないようにしながら。

どうしても難しいところは、ゆっくりと丁寧に、リズム変奏を用いながら地道に練習していくしかない、と決めました。ある程度弾けるようになったところも、正確な演奏ができるように丁寧であることを心掛けるようにしました。

今回は三人のピアニストの演奏を比較してみたいと思います。まずは辻井伸行の演奏です。


音がしっかりしていてすべての打鍵は明瞭です。ペダルは多用している方ではないかと思います。全体に音量は大きめでがっしりとしています。曇りのない直球の演奏です。

次はラン・ランです。

高い技術に裏打ちされて、全くの余裕で弾いています。音量の幅はかなりあり繊細な表現も巧みになされています。弾いた後の左手がちょっと気になりますが彼は全身で(つまり顔の表情も含めて)演奏するタイプなので自然と出るのでしょう。駆け上がりの部分では拍手が出てしまっていますが、ピアノの打鍵限界に近いのではないかと思われる超高速演奏は曲芸の域にまで達しています。貫禄の演奏です。

続いてかつて天才少年と言われたキーシンの演奏を聴いてみましょう。

正統派の演奏と聴きましたが皆さんはいかがでしょうか?高い技術をひけらかすことなく、三者の中では最も楽譜に忠実と思いました。それでいて非常に高い演奏効果を発揮しているのは、やはり天才と努力の賜物でしょう。あまり難しい曲に聞こえないところがまた素晴らしいですね。

三者三様の演奏となっています。実際のところこの曲は練習曲であるわけで、技術向上を旨としているはずです(演奏会用練習曲という見方もできますが)。跳躍や半音階、同音連打、トリルといった様々な要素が入っていて、純粋に練習曲というにはそれぞれの強化部分が短いのでハノンのようではありませんが、確かに技術は上がります。

三人の演奏が同じでないように、自分自身の演奏もまた他のいずれとも異なっていてよいのではないか。これがこのページで言いたかったことです。

もちろん、様々な演奏を聴いて参考にすることはよいでしょう。技術的限界があるならそれを回避する方法を探すのもよいでしょう。おそらくはテンポを落とすことになると思います。それでも、自分なりに練習曲をこなすことで唯一無二のラ・カンパネラが出来上がるのではないでしょうか?

難しい部分をゆっくりと丁寧に弾き、ある程度以上速さを上げられなくなったらそこまででよいのではないかと思います。無理にテンポを上げて不正確な演奏になってしまうのであれば、練習曲の用をなさないと思います。

私は少なくとも2倍の遅さで、できれば1.5倍くらいまでスピードアップできたらいいなと、考えていますがやや高望みですかね?でも演奏して楽しいことが大切です。練習して楽しいことが重要です。

皆さんはどう感じられたでしょうか?

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