ラ・カンパネラ – その38(ミスタッチをどう扱うか?)

「ラ・カンパネラ」
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ミスタッチなしに全曲を演奏するとなど考えてもいませんが、ミスは少ないに越したことはありません。では、練習中に発生したミスタッチをどう扱うか考えてみましょう。

一つの方法は、ミスったところを同じテンポで何度も繰り返し、そのうちにミスが消えるのを待つ方法。実はこれは大間違いです。ミスが身についてしまい、脳がそれを正しいものとしてインプットしてしまうのです。そうなるともうこのミスタッチを取り除くのは至難の業になってしまいます。

別の方法は、次はうまくいく、と念じるだけ。これでは練習していることにはなりません。ではどうするのがベストなのか?

例として、一箇所を取り上げてみましょう。



楽譜でいうと以下の部分です。

赤で書いた音を外しているのにお気づきだと思います。一音低く弾いてしまいました。さてここからです。

いったん中止して、このミスを取り除くことを考えます。何がいけなかったのでしょうか?この場合、左手の小指が予定以上に左に行ったのが問題でした。跳び過ぎたともいえるかもしれません。であれば、左手の小指に意識を向けて今度は跳び過ぎないように明確な意思を持って弾いてみます。


もちろん完璧であろうはずもないのですが、左手の小指はきちんと狙ったところに跳びました。これが重要なところです。そしてその感覚をしっかりと脳に刻み付けるのです。

ある程度弾けるようになってくると途中で止めるのは嫌なものですが、悪い芽は早く摘んでおくことが肝心です。既にミスが固まってしまったところがある場合には、仕方がありませんから速度を落として、正しい位置に指が当たるようにゆっくりと練習し直すしかありません。あまり楽しいことではありませんが、忍耐力を培うのも一種のリフレッシュと諦めることも肝要です。

ラ・カンパネラの様な難しい曲でこれを行うのは相当の辛抱が必要ですが、得られるものも大きいです。なんといってもこれは「練習曲」であり、それも相当にレベルの高い練習曲なのですから。ピアノの腕前が確実に上がります。

プロがミスタッチをしない、あるいはほとんどしない理由をずっと知りたいと思っています。このような練習は実際に行われているものですから(もちろん私が考えたのじゃありません)、これが一つの秘訣なのでしょう。きっともっともっとたくさんの秘策があるに違いありません。なかなか見つけられないものですが、ちょっとしたヒントがいろいろなところに隠れています。是非それらを見つけて練習に役立てていきたいものです。

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