その日、漫然とTVをつけていると今人気の番組がNHKで放送されていました。集中して観ていたわけではないのですが、突然「ボーっと生きてんじゃねえよ!」というチコちゃんの叫びが耳に飛び込んできました。そこでハッとしたわけです。
何で自分はピアノを弾いているんだろう?楽しみのため・気分転換のため・家族や仲間に聴いてもらって楽しませるため、いろんな理由が浮かびましたが、その中に「プロの演奏家になるため」という項目はありませんでした。
今まで指定された運指にこだわってきました。確かにショパンなどではコルトー先生の運指の提案がなければ弾けなかった曲もありますし、それはベートーヴェンでも同じことだろうと思うのです。さすがに「ラ・カンパネラ」は「練習曲」と銘打っていますから、リストの授業を受けるつもりで極力コルトー先生の内容的翻訳を守って弾き続けています。
ショパンはある意味非常に弾きやすい(易しいという意味ではない)曲を書いています。演奏者の手に寄り添ったような感じで。ピアノであることが大前提です。言ってみれば「手が喜ぶ」感じ。一方ベートーヴェンはどうでしょうか?常にとは言いませんが譜面づらの単純さから受ける印象とは大きく違い、手に厳しいところが多々あります。
あたらめて園田版の楽譜を見てみます。と、前にも書きましたし楽譜も少し引用しましたが、しばらくの間は上段にメロディーしか書いていないのです。もちろん運指を見れば右手で伴奏も弾くことに違いはないのですが、ところどころに「左手で採れ」という指示があります。通常版にはないものです。
ということは、メロディーと伴奏の音が三度音程で、どうしてもメロディーのみ強調できないところは左手で採ってしまっても良いのではないでしょうか?
さて、このアイデア(というほどではありませんが)に思い至ったとき、また楽しい葛藤が始まるわけです。「だいぶ弾けるようになってきた。かなり伴奏を抑えることができるようになったが、成功する確率(?)はまだ高いとはいえない。ここまで頑張ってきたのだからそれを貫くべきか。しかし本来の目的を考えれば楽譜に鉛筆の書き込みをすることは問題ないのではないか。しかし、今までの練習が無駄にならないか(ならないと思いますが)。そもそもそのような操作をして、上手く音量をコントロールすることが可能なのか」。
こればっかりはやってみないとわかりません。
で、やってみることに決めました。とりあえず第一テーマの三度音程の部分を左手で採ってみます。
主に赤丸の部分ですね。届かない場合は仕方ありません。あと赤丸のところだけ左手で採るか、16分音符まとめて採れるときは採るか、実際にやってみながら決めていきたいです。
今は時間があまりとれないので、その練習がいつできるかもわかりませんが、とにかくやってみます。却って難しいということもあり得ます。ですから今回は動画はなしです。すぐ撤退するかもしれませんし。
これでいいやと思ってしまえば、一通り弾けるようになったのでおしまいなのですが、けっこう執着するタイプのようですね。以前は練習途中でも終わりにして次の曲へ、というタイプだったのですが歳のせいか変わってきたようです。
検証結果を動画を交えて報告したいと思います。では。