先回は、下記の部分を「跳躍」としてではなく、「手探り」つまり手の感覚として考えてみました。その際、視線はどこに向けるのが効果的でしょうか?これももちろん個人差があるので、一つのヒントとしてご参考にしてください。
まず感覚のおさらいですが、赤い矢印で示したところ、ここは明白に手の感覚で演奏できる部分です。
最初の右手のシの音からは全く同じ音ですから、まったく意識しなくてよいはずです。この時には左手のやや飛んでいる低音のシの音をちらっと見れば安心ですね。
次に青い楕円が3つ書かれていますが、この部分を見て弾くようにすると、その位置を基準にして他の音は「探る」つまり手幅の感覚で弾けるようです。青丸で示した左手の低音はここもちらっと初回だけ見てもよいかもしれません(2つ目は見ないで)。右手はシからド♯ですから、これも感覚をつかめば見ないでいけそうですね。左手の青丸も同様に感覚で探れればそれに越したことはありません。
最後の赤い矢印ですが、以前に書いた通り運指をきちんと定めておけば(コルトー先生の指遣いは大変しっくりきます)、手の感覚で最後まで弾けます。よく練習すれば。
さて、視線と言えばコーダについて書いた際、左手の音型
ここは「目をつぶっていても弾けるように」などと勝手なことを書いていましたが、この部分では皆さん視線をどこに向けていますか?私は完全に左手、つまり上記の部分を見ています。
言行不一致も甚だしい話ですが、見ていないと無理です(コルトー先生はこの部分でも幅を狭めた2音ずつの練習で感覚をつかむように教授されていますが、それでも難しいでしょう)。
目をつぶっているのは右手側のメロディーの方です。実際左手のこの部分は幅は狭いですが跳躍で、YouTubeでも見られる辻井伸行の熱演でも唯一ミスタッチが聞き取れる部分です。
というわけで、上掲コーダの部分の右手側のメロディーは見ないでも弾けるように練習するのが良いと思われます。「手探り」で十分に弾ける部分だと思います。ここも個人差があると思いますが視線は左手、ということになるでしょう。
最後の最後は視線配分は本当に難しいですね。視野はそんなに幅広くありませんし、素早く左右を見る感じでしょうか。ここは何とか左手の感覚をつかみたいところです。
コーダは華々しく最後を飾る場面なので勢いに乗って、ついつい乱暴に弾いてしまうのですが、やはりゆっくりと丁寧に、正確さを保って練習しなければ、と思いつつ(腕の疲れもあって。脱力が苦手なんです)、暴走しています。辛抱が大切ですね。徐々にスピードを上げましょう。
ようやく、少しずつですが練習の時間が取れるようになってきました。定期的な練習には程遠いですが。また、「即興曲第一番」を始めてしまったのですが、ちょっと焦ったかも。「ラ・カンパネラ」にもまだまだネタはありそうですので、しばらくは後者に比重をかけるかもしれません。あしからず。